山中歯科ブログ
前歯の審美改善治療
練馬区大泉学園駅 北口徒歩3分 山中歯科の山中大輔です。
前歯は、その色や形によって、第一印象に大きく関わります。
患者さんがご自身のお口の中で、最も気にする場所でもあります。
下の写真の患者さんは何年も前に前歯をぶつけた事があり、徐々に変色が強くなってきたとのことでした。
レントゲンを撮影してみると、歯の根の周囲の骨が溶けているのがわかります。
この後、CT撮影等で精査したところ、歯の根の先端に大きな病巣があり、歯の内部にも大きな穴が開いていることもわかりました。
上の写真の向かって左側の一番変色のある前歯に関しては、ぶつけた時の影響もあり、歯の外部吸収が進んでいたので、保存はできませんでした。
治療計画としては、通常の歯の内部の治療(根管治療)後、歯の根の先端の病巣の除去、歯の内部に穴が開いている部位の修復、までを行い、その時点で、残存している歯が保存可能かどうかを診断することになりました。
抜歯適応の歯もありましたが、保存できる可能性を探りながらの計画です。
通法の根管治療後に、根尖(歯の根の先端)部の病巣を徹底的に除去します。
一度歯肉の治癒を待った後、このときに確認した歯の内部の穴を埋める治療を行いました。
歯の根にかなり大きな穴があいてしまっています。
ここまで大きな穴となると修復する方法もほとんどありませんが、「MTAセメント」という特殊なセメントで封鎖を試みました。
幸い、術後は良好であり、当初の予定どおり、向かって左上の歯以外は保存することが出来ました。
その後、部分的な矯正を短期間行い、歯の位置を改善し、最終的な補綴に備えます。
最終的な補綴物は、周囲に歯垢や歯石が付着しづらいメタルセラミックスを用いました。
内部にメタルを使用することで、歯の変色を隠すことができ、ブリッジ部分の強度も高くなります。
治療費を抑える目的で、コバルト系のメタルにセラミックを焼成する設計にしました。
術前 術後
術前と比較しても、前歯の色、大きさなど、左右対称に近づけることができました。
治療期間は約2年間。術後は最終補綴後、約2年経過しています。
治療回数も多く、期間も長くなりましたが、患者さんの協力もあり、なんとか最善の治療ができたと思っています。
今回のように、保存治療がうまくいかないケースも多くあります。
最初から、予後が心配な歯を抜歯し、確定的な補綴治療(ブリッジ・インプラント・義歯)を行う方法もあります。
患者さんの生活スタイルによっても治療計画を変更することもあります。
大切なのは、様々な可能性を説明して、患者さんの同意を得たうえで、治療を進めていくことだと思います。
山中歯科 山中大輔