山中歯科ブログ

HOME > 山中歯科ブログ ≫ 根管治療 ≫ (歯科治療例)困難な歯の中の治療(歯の神経の治療)について

山中歯科ブログ

(歯科治療例)困難な歯の中の治療(歯の神経の治療)について

2016. 5. 30.

練馬区大泉学園 北口徒歩3分 山中歯科の山中大輔です。

 

当院は精密で確実な歯科治療をしたいと考えて日々の診療を行っております。

 

今回は「根管治療」における難易度の高い治療 「破折ファイルの除去」 について説明していきます。

 

「根管治療(歯の神経の治療)」とは、「歯の根の治療」「歯の根っこの治療」などと説明することがありますが、虫歯菌が歯の内部に及んだ場合や、以前に根管治療した歯の内部が再度感染した場合などに行う治療です。

 

根管治療 

 

歯の治療の中では、「虫歯治療」「歯周病治療」と同じぐらい頻度の高い治療です。

 

治療の方法はいたってシンプルで、「歯の内部の細菌を可能な限り減らし、綺麗になるまで洗浄・消毒する」ことになります。

下の図のような「ファイル」という針のような道具で、歯の内部の汚れを掻き出していきます。

 

根管治療 ファイル

 

しかし、実際の歯の中はほとんどのケースで非常に複雑な形態になっています。

 

複雑な歯の内部

 

このような複雑な歯の内部に対して、直線的な道具(ファイル)でアプローチしていくのは容易な事ではありません。

再治療(以前根管治療をした事がある歯)の場合は、取れづらい汚れが歯の内部の奥底に詰まっていますので、さらに難易度も上がり時間もかかる治療になります。

 

また、治療の最中に「ファイル」の先端が折れてしまう事もあり、この破折したファイルを取り出す必要がある場合、通常の根管治療に加えてさらに難易度の高い治療になってしまいます。

 

破折ファイル  破折ファイル

破折ファイルがあった歯(左)と、取り出した破折ファイル(右)

 

当院ではなるべく折れないような工夫をしたり、すり減ってきた道具は廃棄するなどしておりますが、歯の神経の治療を専門とする先生でもファイルを破折してしまうことがあるそうなので、「根管治療」という治療の中で起きやすい事だと捉えられています。

 

折れたファイルが歯の内部に残っていても、歯の内部に感染がなければ予後に悪い影響はないと考えられていますが、歯根の先端に感染の兆候がある場合には、折れたファイルを含めて感染した物質を取り除く必要があります。

 

しかし、上記で述べたように、歯の内部は複雑な形をしていますし、「ファイル」というのは細いネジのような形態になっているので、歯の内部に食い込んでいると中々取り出すことができません。

 

下のレントゲンの患者さんは赤い印の部分に、破折したファイルがあり(複数本)、特に奥歯の根の先には黒い影(黄色い部分)が映っています。歯茎にも膿の出口(口内炎のような膨らみ)が生じていて、治療の必要性がありました。

 

破折ファイル  破折ファイル  破折ファイル

 

歯の内部は目で見えないので、レントゲンを撮影しながら(場合によってはCT撮影を行い)、頭の中でイメージをつけながら治療を進めていきます。また、下の写真のような超音波で振動する特殊な器具を使用して、少しづつ歯の内部の汚れを落としていきます。

 

超音波チップ   エアースケーラー

 

まずは奥から2番目の歯の破折ファイルを除去し、

 

根管治療

 

次いで、一番奥の歯の内部にある破折ファイルを一つずつ取り出していきました。

 

歯の根の治療  歯の根の治療  歯の根の治療

 

あとは、残っている汚れを徹底的に掻き出して洗浄していきますが、このケースは複数本の破折ファイルが存在していた稀なケースでした。

破折したファイルを取り出すことはできましたが、感染が大きすぎるため予後は不良かもしれません。数年後に抜歯に至る可能性もあります。

 

しかし、歯を保存する意味があるケースでしたので(抜歯を勧める場合も多くありますが)、今回の治療を行いました。

 

このように我々歯科医師は、目に見えない小さい場所の治療を日々行っており、治療に時間や回数がかかってしまうこともあります。

 

しかし、歯科治療の必要性を少しでも多くの患者さんが理解してくれるように、日々頑張っていきたいと思います!

 

山中歯科 山中大輔

 

Copyright © 大泉学園駅の歯科 東京都練馬区の歯医者