山中歯科ブログ
(歯科治療例)特殊な入れ歯で審美性も改善
練馬区大泉学園 北口徒歩3分 山中歯科の山中大輔です。
山中歯科では、残っている歯の状態を改善し(歯周病治療など)、欠損(歯を失った場所)を適切に回復することで、来院される方の口腔の健康を改善・維持したいと考え診療を行っています。
私は大学病院にて欠損補綴治療(歯を失った部分を補う治療)を専門に学ぶ講座および大学院にて、臨床と研究に携わっていました。また歯周病とインプラントをテーマにした研修会に参加し研修を続けてきました。
「失った歯を補うこと」と「歯を保存する事」の両方に精通することで、患者さんのお口の状態を今以上に悪化させる事無く、「長期的に安定した状態」を達成することができると思っています。またそれが健康長寿につながると考えています。
「歯を失った部分を補う方法」としては、ブリッジ・インプラント・入れ歯・歯の移植などが挙げられますが、「入れ歯は大きいしバネが目立つから嫌だ」と言われる患者さんは多くいらっしゃいます。
確かにインプラントと比較すると違和感は大きいかもしれません。初めて入れ歯を使用するときは、馴染むまで時間がかかることがあります。しかしうまく使用できるようになれば、その違和感も少なくなってきます。また、バネが目立つ場合には特殊な装置を応用して目立たなくさせることも可能です(ケースは限られます)。
今回はそのような特殊な装置について紹介していきます。
下の写真は「磁性アタッチメントを応用した義歯」を装着している写真です。下顎の入れ歯は通常の入れ歯ですのでクラスプ(バネ)が目立って見えますが、上顎の入れ歯にはバネの代わりに「磁性アタッチメント」を使用しています。
下の写真が入れ歯を外したときになります。金属色の部分は、歯の根の部分だけを残して磁力を応用したアタッチメント(磁性アタッチメント)を装着しています。
下のケースでは、右の下の部分に「目立たないクラスプ(アイバー)」、左の下の部分に「磁性アタッチメント」を応用してあります。
下の写真のケースでは、上の前歯に磁性アタッチメントを応用しました。
一番前の歯にバネがかかると非常に目立ってしまいますが、磁性アタッチメントの応用によって、クラスプ(バネ)を無くす事ができたケースです。
また、最近では「ノンメタルクラスプデンチャー」と呼ばれる入れ歯があります。
(左:従来のクラスプ 右:ノンメタルクラスプ)
弾性のある(やわらかい)素材でできているため、金属のバネを用いなくても歯に引っ掛けることができます。ただしこの材料は、「臨床主導で世間に流通した材料」であり、大学や学会でも十分に検討されないまま広まったので、義歯の設計や取扱に注意しなければいけません。
最近では2013年に日本補綴歯科学会からのポジションペーパー(意見)が出されたこともあり、ある程度の設計方法や留意事項が決まってきました。
・基本的には剛性のある金属床義歯(入れ歯の強度を保つ部分が金属である義歯)に応用する。
・金属を全く使用しないノンメタルクラスプデンチャーは、金属アレルギーなどの場合を除いて推奨されない。
・従来の材料と比較すると、劣化のスピードは早い。
・支えとなる歯が磨きづらく、虫歯リスクが高くなる。
まだまだ臨床研究報告は少ないので、今後新たな知見もでてくると思いますが、入れ歯の大原則として「入れ歯は動かないもの」でなければいけません。
ノンメタルクラスプデンチャーの材料は柔らかいので、それだけで義歯を製作すると義歯自体が柔らかいものになります。入れ歯が動けば、支えとなる歯を動かし、入れ歯の下の歯茎にも余計な力が加わってしまいます。その結果短時間で「残っている歯が揺れてくる。」「噛むと痛い。」といった症状がでることもあります。
しかしこの素材で製作する入れ歯は、審美性の面で優れていると考えていますので、うまく利点を応用すれば良い入れ歯を作ることも可能だと考えています。
山中歯科では、様々な材料や装置を応用して、「患者さんのためになる入れ歯」を製作しています。
山中歯科 山中大輔