山中歯科ブログ
(歯科治療例)「インプラント治療をして良かった」
練馬区大泉学園 北口徒歩3分 山中歯科の山中大輔です。
山中歯科では、残っている歯の状態を改善し(歯周病治療など)、欠損(歯を失った場所)を適切に回復することで、来院される方の口腔の健康を改善・維持したいと考え診療を行っています。
下の患者さんは、長年入れ歯(金属のバネのないやわらかい素材のもの)をなんとか使用していましたが、入れ歯を支えている奥歯が抜けてしまい、本格的に奥歯の欠損補綴と咬み合わせの治療を行うことになりました。
写真の右上にある銀歯の揺れが大きく、掴むだけで抜けてしまう状態でした。
また、右の手前にある歯(欠損部に一番近い歯)も保存は困難な状態でした。
そうなると、本来あるはずの奥歯が左右合わせて6本無くなってしまいます。
いよいよ本格的に治療の介入が必要なことを伝え(患者さんも覚悟をしておりましたが)、治療の方法を話し合いました。
奥歯の欠損が多い場合、欠損部を補う方法は「入れ歯」か「インプラント」になります。
★まずは費用について、
「入れ歯」には、健康保険内で作る入れ歯もあれば精密なやり方(自費診療)で作る入れ歯もあります。
「インプラント」には健康保険はききませんので、最初から自費の診療となります。
現状インプラント治療のほうが費用は多くかかります。
★利点・欠点について
「入れ歯」のイメージは悪いかもしれませんが、きちんと作れば当然なんでも噛むことは出来ます。
ですが健康保険内の入れ歯に関しては、そこまで期待されても中々難しいことも多く、違和感はあるでしょうし、金属のバネも見えてしまいます。
しかし、「精密に作る入れ歯」であれば、これまでの入れ歯よりも格段に違和感が少なく、よく噛めるようになると考えています。
初めて入れ歯を使用する患者さんにとっては、馴染むまで時間がかかるかもしれませんが、その後長期にしっかり食事を採ることは可能です。
「インプラント」に関しては、取り外しがない、違和感が少ないなどの利点も多くありますが、
・入れ歯と比較すると費用がかかる
・外科的治療のため全身疾患(糖尿病・骨粗しょう症など)の持病をもつ方ではできない
・入れ歯と比較すれば歴史的にも浅い治療法であり、長期的な予測(インプラント周囲炎など)が不明確な部分もある
といった欠点もあります。
どちらの治療法が良いという事はなく、患者さんの状態によって変わってくると思います。
また、患者さんにとって不安に思う事や分からない事を聞いて、最終的な治療プランをたてていきます。
さらに、入れ歯であってもインプラントであっても、一生大丈夫という事はないので、最近では治療の方法に関係なく、将来的にトラブルが起きた場合、対応しやすいような設計を考慮するようにしています。
今回のケースでは、これまで使っていた入れ歯の使用感が悪く、なかなか「精密な良い入れ歯」のイメージを持つことが困難であったことや、インプラント治療を受けたご友人の話なども聞いた結果、「インプラント治療」をすることに決まりました。
保存不可能な歯を抜歯し、傷が治癒した後、3次元CTを撮影した後、インプラント治療を開始します(インプラント治療の流れは →コチラ)。
下の写真は、下顎のすべての治療を終えた時になります。
治療を終えた後、患者さんは「インプラント治療をして良かった」とおっしゃっていました。
治療を受ける前の状態と比較して、奥歯にしっかりとした咬み合わせがあることで、きちんと咀嚼することができるようになったと思います。
また、取り外しや違和感などがなくなった事も良かったのだと思います。
しかし、今後はインプラントの周囲に炎症が起きないように、しっかり口腔ケアを行わなければいけません。
毎日しっかりブラッシングをして頂いて、入れ歯の取り外し以上に手間暇をかけてもらう必要があります。
患者さんも長期間通院して、時間も費用もかけたので、初診時よりも格段に口腔ケアの意識が高まっています。
当院でもメインテナンスをしっかり行っていきたいと思います。
★注記★
私自身は、大学・大学院時代、欠損補綴分野の中でも部分入れ歯を扱う講座に在籍していたので、「入れ歯治療」は素晴らしい治療方法だと考えていますし、インプラントが入れ歯にとって代わる事は無いと考えています。
(歯科医師でも患者さんでも)入れ歯よりもインプラントのほうが上位の治療だと捉えている方は少なくありませんが、決してそんなことはありません。
「失った歯を補うこと」と「歯を保存する事」の両方に精通することで、患者さんのお口の状態を今以上に悪化させる事無く、「長期的に安定した状態」を達成することができると思っています。またそれが健康長寿につながると考えています。
山中歯科 山中大輔