山中歯科ブログ
(治療例)今月の入れ歯症例
練馬区大泉学園 北口徒歩3分 山中歯科の山中大輔です。
山中歯科では、精密な欠損補綴(歯を失った部分を補う)治療によって、患者さんの咀嚼機能を改善し、生涯美味しく食事が摂れるようにしたいと考えております。
欠損補綴治療には、ブリッジ、入れ歯(義歯)、インプラント、と大きく分けて3つの方法があります(詳細はコチラ)が、今回ご紹介するのは「入れ歯(義歯)」のケースです。
「入れ歯」といっても、その製作方法には様々な方法があり、また使用する材料も色々なものがありますので、患者さんそれぞれに適した材料と方法を選択して作っていきます(入れ歯の治療方法について、詳しくはコチラ)。
下の写真の患者さん、顎堤(入れ歯が乗っかる硬い歯茎の部分)がほとんどなく、歯茎の内側に存在する「歯槽骨」はほぼ吸収してなくなっているのがわかります。(正面観で下顎の顎堤に見えるものは、実は舌下ヒダ周囲の軟組織です。)
通常入れ歯は凸形状の歯茎の上に乗せるようなイメージですが、この方の場合、場所によって平らな歯茎の上に入れ歯が乗っかるようになり、入れ歯の安定性はかなり悪くなってしまいます。入れ歯治療としては難易度の高いケースだと考えられました。
実はこの患者さん、最初に来院したのは約2年前で、その時は「新しく義歯を作りましょう」という方向でしたが、義歯製作の途中で来院が途絶えてしまっていました。かなりご高齢でもあったためお体に不調がでたのかもしれないと、心残りがある状態のままになっていました。
それが突然、今月に入りふらっと来院されました。
「下の入れ歯を無くしてしまった。」とのこと。
90歳も超えており、元気は元気ですが、食事が摂れないとなると一気に衰弱する心配もあります。
通常入れ歯は、短くて4~5回、精密な入れ歯であれば6回以上かけて、製作していきます。
しかし、今回はそれほど時間的余裕がないため、技工物の保管場所をひっくり返し、約2年前に作った咬合床(咬み合わせを記録するもの)を探し出しました。
咬合床の適合は悪くなっていたため(粘膜の形態は変化していくので)、適合不良の部分を修正し、なんとか上下の咬み合わせの関係を採得。(一般的な入れ歯の製作手順についてはコチラ)。
その後、急いで人工歯の排列を行い、仮義歯の試適と同時に「咬座印象」を行いました。
今回は少しでも義歯の安定性を向上させたかったので、可能な限り義歯床を大きくするような、(義歯の動きを抑えるような)イメージで印象を行いました。
完成した義歯になります。
今回、時間的制約(アポイント的にも窮屈)のある状態の中、自分の出来る限りのことはして、義歯を製作しました。
後は装着時間・食事回数に合わせて義歯調整を行う予定です(おそらく下の義歯は2回ぐらいは調整が必要になるかと考えています)。
顎堤の状態が悪く、義歯も何も入れていない場合、ほとんど流動食に近いものしか摂取できなくなるため、栄養状態も偏ってきてしまいます。美味しく食事が出来るように調整をしていきたいと思います(本来なら調整ナシの義歯を目指します)。
山中歯科 山中大輔