山中歯科ブログ
(歯科治療例)ダイナミック印象による義歯治療
練馬区大泉学園 駅徒歩3分の歯科・歯医者 山中歯科の山中大輔です。
新年を迎えてブログの更新をしておらず,あっという間にもう1月が終わりかけてしまいます。
本当に1日1日が速いです。
さて、今回のブログでは、「ダイナミック印象」という方法を用いて製作した義歯について紹介します。
「義歯」「入れ歯」を通常の方法で制作する場合、4~6回ほどかけて作っていきますが、難易度の高いケースになるとそれだけでは上手くいかない事があります。
難易度の高い理由は様々ありますが、入れ歯の下にある「歯肉」や入れ歯の周りにある「筋肉」などの「軟組織」は、押せば1mmぐらいすぐに変形するのがわかると思います。
そのような、「変形しやすい」「不安定」な組織を相手に義歯を製作するので、1回の型どりで義歯製作を進めていく従来の方法だと、装着後の義歯調整に手間取る事があります。
装着後に何度も「削る調整」をしていると、咬み合わせがずれてしまったり、義歯が不安的になってしまったりと、なかなか落ち着かない状態になります。
そのような場合に有効なのが、「ダイナミック印象」になります。
下の写真の患者さんは上の顎に大きな骨隆起があったため、義歯を後ろに延ばすことが出来ず、すぐに外れてしまう状態でした。
上顎の義歯に関してはその問題を取り除けば良い状態でしたので、外科的に削除しました。
その後、上顎の義歯を後方に延長し、傷が治癒するのを待ちました。
下の写真がその当時使用していた義歯です。
下顎の義歯の形態が不適だと考えました。
難易度を高くしている原因の一つとして「舌の位置」があります。
舌を後ろに引く習慣がある方だと、下顎の義歯の安定が失われてしまうことがあります。
舌の位置を意識してもらいながら、「ダイナミック印象」を行うことにしました。
まず通法で治療用の義歯を製作します。
その後、特殊な材料を義歯の内面に一層塗布し、患者さんに使用してもらいながら、義歯の微妙な形を修正していきます。
この時点で痛くなることもありますが、痛い部分は削合調整することで緩和されます。
ダイナミック印象の特徴としては、この時期に時間と回数をかけます。
一回の治療に1時間の予約をしてもらうこともありますし、治療の期間も数ヶ月に及ぶこともあります。
しかし、「痛くなく噛める」状態を維持していくので、苦痛を伴う時期ではありません。
逆に、治療の終了をあせって、この時期に未完成なまま次のステップに行ってしまうと、後々の調整がさらに大変になります。
この方の場合も、何度もダイナミック印象(微調整)をしました。
数ミリから0.2ミリぐらいの調整もするイメージです。
患者さんにとっても何を調整しているか疑問かもしれませんが、そこは信用してもらうしかありません。
ほんの少しずつですが形を変えていっています。
微調整を終え、患者さんとしても痛くなく、使用感も違和感がなければ、このままの形を模型にして、義歯を製作します。
従来の方法と異なり、安定している形をそのまま残して義歯を作るので、完成した新義歯もほぼそのままの形態になっています。
下が完成義歯になります。
何度が使用感を確認し若干の調整をしましたが、装着時より痛みはありませんでした。
開口時(大きく開けても外れない事を確認しています)
義歯の転覆試験(噛みちぎれない綿を強く噛んでも、痛くなく外れ無いことを確認)
ダイナミック印象による義歯製作は、通院の時期は長くかかります。
しかし、その間痛みが出ないようにしながら治療していきますので、完成後の調整が少なく、良い義歯が製作できる方法です。
難易度の高い場合には、最も推奨する製作方法です。
山中歯科 山中大輔