矯正歯科
矯正歯科
お口の健康を保つためには、歯の並び具合や咬み合わせが深く関わってきます。歯並びが悪ければ、歯垢が溜りやすいために虫歯や歯周病になりやすくなります。ブラッシングに相当気をつけていても、歯の並びが重なっている部分(歯と歯の間の深い部分)には細菌が入り込みやすい環境にあるからです。
また、歯並びは人の第一印象を決定する重要な要素と言われています。海外では歯列矯正に対する意識が強く矯正治療をする人も多いのに対し、日本では歯並びの重要性に対する意識は海外並みに高いものの、治療率や相談率は明らかに低い現状があります。
矯正治療の恩恵は大きく、歯や全身の健康だけでなく前向きな性格になるという心理的な変化をもたらせてくれる治療です。また、お子様に歯並びを治したい(小児矯正)はもちろん、ご自身の歯並びが気になる(成人矯正)という方もご相談ください。(当院では近隣のよしかわ矯正歯科と提携しております。)
部分(限局)矯正(MTM)
歯の並びを全体的に治すのではなく、一部分だけ治す矯正治療を「部分矯正」もしくは「限局矯正」といいます。補綴治療(被せる治療)の前に、支えとなる歯の向きを修正する場合や、虫歯で多くの部分を失った歯に対して残っている部分を引っ張り出す場合などに行います。少しの修正ですが、治療の予後を大きく左右するため、その有効性は非常に高いと考えています。
治療例:矯正用アンカースクリューを用いた下顎大臼歯の矯正
一番奥の歯(向かって右)が手前に倒れている状態で、補綴治療(かぶせ物の装着)がなされているなのがわかります。また、赤い○で囲った部分には深い歯周ポケット(垂直性骨欠損)が存在していました。このように傾斜した歯の周囲には、歯垢や歯石が付着しやすいく、清掃もしにくいことから、歯周ポケットが形成されてしまいます。
また補綴物の内部には大きな虫歯があり、神経に感染が及んでいる状態でした。
矯正用アンカースクリューを応用して、倒れた歯を起こす「MTM(部分矯正)」という治療を行いました。
術後の2本の歯はほぼ平行な状態になっているのがわかります。また、術前にあった「深い歯周ポケット」は完全に消失しているのが確認できます。
矯正治療により歯の周囲の歯槽骨も一緒に移動していき、歯槽骨の一部が再生され、長期的安定に有利な状態にすることが出来ました。
術前
術中
術後
治療例:前歯部の牽引(エクストルージョン法)
患者さんは前歯が折れたという事で来院されました。折れてしまった前歯は虫歯がかなり深い場所まで進行していたため保存は困難かと思われましたが、レントゲン上で比較的長い歯であることが確認できたので、引っ張り出す矯正(牽引)を行い保存することにしました。
- 初診時の状態
- 初診時の状態(裏側)
牽引することで歯の一部が歯肉より見えてきています(牽引中は仮歯を付けているので写真のようなフックは見えないように治療していきます)。
しかしこのまま単純に補綴物を製作すると、歯肉の位置がずれてしまい審美性に劣りますので、仮歯(テンポラリークラウン)による調整と歯肉整形を行う事で左右の前歯の歯肉の位置を適合させます。
その後、かぶせ物(オールセラミックスクラウン)を装着し終了になります。
この治療をしなければ、すぐに脱離を繰り返す状態になり、いずれは抜歯することになったと考えられるため、このようなケースでは限局矯正は非常に有用な治療法になります。