インプラント
歯を失った(欠損した)場合の治療法
虫歯や歯周病、そのほかの理由で歯を失ってしまったとき、その部分を補うことを「欠損補綴」と言います。一般的に「欠損補綴」の治療には以下の選択肢があります。
ブリッジ
インプラント
義歯(入れ歯)
ブリッジ | 固定式(歯に接着させる)の「かぶせ物」 《利点》固定のため自分で取り外す必要はない。 《欠点》支えとなる歯を削る必要がある。 《注意》基本的には歯の欠損数が少ない時に応用可能。 |
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義歯 | 取り外し式の「入れ歯」 《利点》修理しやすく,トラブルのあった場合にすぐ対応可能 《欠点》慣れるまでは違和感が大きい。取り外す必要がある。 《注意》精度の高い義歯を製作するためには,残っている歯を削る 事もある。治療期間も比較的長いことがある。 |
インプラント治療 | 顎の骨の中にチタン製のインプラントを埋入し,その上に人工の歯
を製作していく。 《利点》違和感が少ない。自分の歯と近い感覚で食事が可能にな る。 《欠点》治療費用が高額になる。治療期間も数ヶ月単位になること が多い。 《注意》外科的な治療になるため,糖尿病等の全身疾患をお持ち の方や,重度の歯周病の方にはインプラント治療が適用で きない事がある。 |
歯牙移植 | 自分の歯を欠損部位に移植する治療法。 《利点》周囲の歯を削る必要がない。 《欠点》適応症例が限られる。 《注意》保険適応な場合もあるが自費診療のケースも多い。 |
どの治療法にも利点・欠点があります。一人ひとり異なる状態の患者さんに対し、どの治療が最も適しているのかを決められるのは、その治療を行う歯科医師だと考えています。
インプラント治療とは
歯を失った部分の骨の中に、チタン製のインプラントを埋入し、その上部に人工の歯を装着するという治療法です。現在のタイプのインプラントが応用され始めてから30年以上経過しており、様々なインプラントシステムが改良されながら現在に至っています。
欠損補綴治療におけるインプラント治療は非常に高い成功率が報告されています。また、ブリッジや義歯と比較しても患者満足度が高いことが知られています。
しかし、良いことだけではありません。外科的な侵襲を行う場合のリスク、将来的な全身疾患との関係性など心配な部分もあります。患者さん一人ひとりの状態を把握・診断してから計画を立てていきます。
インプラント1次手術
歯の欠損部へインプラント体を埋入します。
通常の麻酔を使用して行いますので術中は痛み等は感じません。
当院では「2回法」を採用することが多いため、インプラント体の上に歯肉をもどして縫合し、その後約3か月経過を観察します。
(その間にインプラント体表面と周囲の骨がくっついていきます)
インプラント2次手術~仮歯装着
歯肉を貫通する部分の形を整えていきます。
完全に周囲の骨と一体化したインプラント体の上にキャップ(アバットメント)を装着していきます。
その後、アバットメントの種類を変えていきながら、仮の歯を装着し、噛み合わせや審美性の確認をします。
上部構造物の装着
インプラント体の上に最終的な歯の頭を装着していきます。
ねじ止め式で行う事が多いですが、セメントでつけていく事もあります。
メインテナンス
インプラントの周りも歯周病と同じような病気になる事がわかってきました。しかも、ご自身の歯よりも歯周病の進行が速いとされています。
インプラントを長期的に安定した状態に保つためには、プロによるメインテナンスが必須になります。
インプラント治療が怖い!という方へ 当院の取り組み
1、歯科用CTの導入 見えなかった部分を見えるように
インプラント治療の急速な普及に伴って、様々なトラブルが知られるようになってきました。
同時に様々な検査機器が開発され、それまでのトラブルは起こりにくくなってきています。
有用な機器の一つに「歯科用CT」が挙げられます。従来のレントゲンは2次元での把握しかできなかった ため、実際の骨がどういう形態になっているかは、触診しながら想像する必要がありました。
また、インプラントの周りには「骨」が必要です。顎の骨を飛び出してしまい、周囲組織・神経や血管を損傷させてしまうと術後の後遺症が生じてしまいます。
歯科用CTが普及するようになり、顎骨を3次元的に把握できるようになり、解剖学的なトラブルは回避できるようになりました。
「歯科用CT」を撮影することで一人ひとり異なる、顎の形態・骨の内部を走行する血管や神経の位置を詳細に把握することが可能になります。
以前は、診断や治療のためにCT撮影行うことは稀でしたが、今後はインプラント治療を行うにはCT撮影が必須だと考えられています。
2、サージカルガイド(SIMPLANT)の導入 計画通りの位置に埋入
安全に計画通りにインプラント治療を行うために、3次元CTに加えて欠かせなくなってきたものが「サージカルガイド」になります。
CTによって撮影されたデータを基に3次元モデルをソフト上で製作します。同時に模型上で最終的な歯の形を製作したものを3Dスキャナで取り込み、ソフト上で重ね合わせていきます。
そうすることで、術前にシミュレーションモデル上で最終的な状態を把握する事が可能になりました。
また、計画された位置に正確にインプラントを埋入するための「サージカルガイド」を光造形技術で製作していきます。このガイドに沿って埋入することで、計画通りの手術が可能になりました。
当院では「SIMPLANT」システムを導入しております。