
歯周病は、歯を支えている組織が破壊されていく病気です。 歯自体は健康でも、歯を支えている組織が破壊されると、歯はぐらつくようになり、物が噛めない、噛むと痛い、といった症状が現れてきます。
歯周病は、痛み無しで進行することが多いので、気づいたときはかなり進行してしまっていることもあります。 また、1本の歯だけでなく、多数の歯に同時に起こることが多いのも特徴です。しかも、 歯を支えている骨は歯周病で一旦破壊されると、回復しません。一度に多数の歯を抜歯しなければならないことも少なくありません。それだけに、早期発見早期治療と予防が特に大切です。
歯周病はその程度により、歯肉炎(G)・軽度の歯周炎(P1)・中程度の歯周炎(P2)・重度の歯周炎(P3)に大きく分けられます。
歯を支えている骨には破壊が及んでいませんが、歯肉が赤く脹れ、歯を磨くと時々出血する段階です。 この段階であれば、歯ブラシの仕方を改善するだけでよくなります。正確なブラッシング方法などお伝えしておりますので、早めにご相談ください。
一部の理由を除いて、歯周病の多くの原因は正しく歯を磨けていないことにあります。山中歯科では、正しく歯を磨くこと(セルフケア)のレベルアップを歯周病予防として第一に考えています。再発は歯周病に限ったものではありませんが、せっかく治療しても再発するケースが多いのもこの歯周病です。歯周病の治療には保険が適応されます。しかし、歯周病が進行してしまった際に使用する薬剤等の一部には保険が適応されません。歯周病が再発・進行しないようにするために、専門の器具を使った定期的なメンテナンスをおすすめしています。私たちと一緒にお口の中全体のバランスを整えていきましょう!
近年の研究によって、お口の中の病気と全身の病気には深い関わりがある事がわかってきました。その中でも歯周病は様々な全身疾患と相関性のあることが研究報告されています。
歯周病原因菌の影響によって体内で産生される物質の一つに、TNF-αという物質があります。TNF-αには血液中の糖分の吸収を抑える作用があるため、その結果血糖値が高くなるとされています。
歯周病治療をすることによって、このTNF-αの濃度が低下すると報告されています。
また、糖尿病の方でコントロールされていない状態、つまり血糖値が高い状態が続けば、白血球の機能が低下し、細菌に対する抵抗が落ちてしまいます。そのため、糖尿病患者さんの多くは歯周病が悪化しやすく、血糖値がコントロールされていなければ、歯周病の予後も悪いと考えれます。
引用:日本臨床歯周病学会
現在(2015年)、死因の第3位に位置している肺炎ですが、この病気も歯周病と関連があるとされています。
高齢者に多い肺炎ですが、高齢者の方は嚥下機能が低下することで、食道へ飲み込もうとしたものが誤って気管のほうへ入ってしまう「誤嚥」が生じやすくなります。この誤嚥により気管に入ってしまった異物に含まれる細菌が原因で生じる肺炎を「誤嚥性肺炎」といい,高齢者に多い肺炎です。
若い方であれば、誤嚥した場合でも「咳」をして外に出したり、気管粘膜の繊毛活動で外に排出されますが、高齢者はそれらの力が弱まっているため、異物が気管に入ったままの状態になります。さらに免疫力が下がっていることもあり、誤嚥性肺炎になりやすいと考えられています。
お口の中に細菌が多くいるほど、当然この誤嚥性肺炎のリスクが高まり、歯周病の方はそのリスクが約6倍になるという報告もあります。
さらに高齢者の方は唾液の量も減少していますので、お口の中で細菌が繁殖しやすい環境にあります。日々のセルフケアに加えて歯科医院での清掃指導とプロフェッショナルケアが重要です。
一般的に妊娠すると歯肉炎になりやすくなると言われています。これはエストロゲンという女性ホルモンが歯肉を形作る細胞を攻撃したり、歯周病原因菌の増殖を促すと考えられています。
この他に、プロゲステロンというホルモンが炎症の元であるプロスタグランジンという物質を刺激しますが、このプロスタグランジンという物質は子宮収縮作用があり、濃度が高くなると妊婦の身体で出産開始の準備が始まります。その結果、陣痛が生じ早産・低体重児出産が引き起こされると考えられています。
歯周病に罹患している妊婦の方は、そうでない方と比較して早産・低体重児出産のリスクが約7倍高くなると報告されております。
妊娠中、つわりが原因でブラッシングがきちんとできずに、虫歯や歯周病になる方も少なくありません。歯肉から出血するなどの症状がある場合は、歯科医院で健診・クリーニングを行う事をお勧めします。また、地域歯科医師会による妊婦歯科健診事業もありますので、通知が届きましたら、お早めに受診されると良いと思います。
また、妊娠してから(或いは痛くなってから)の受診ではなく、症状がなくても普段から歯科医院での予防処置を行う必要性が高まっています。妊娠をする前の時点で、ご自身のお口の中の状態を知り、適正な治療を受け、予防習慣を身につけましょう。
動脈硬化の原因として,不適切な食生活や運動不足,ストレスなどの生活習慣が要因とされていましたが,別の因子として歯周病原因菌などの細菌感染がクローズアップされています。歯周病病原菌などの刺激により,毒素や炎症物質が血管を変性させたり,血液を凝固させ血栓を作ると考えられています。
歯周病の方とそうでない方を比較すると、心臓疾患が生じる可能性約3倍高いと報告されています。