審美歯科/ホワイトニング
審美歯科について
「審美」と聞くと「見た目」と思われがちですが、歯科で呼ばれる「審美歯科」には「自然な美しさを取り戻す」という目的に加えて「口腔内の機能を回復する」という意味も含んでいます。
見た目だけを美しく回復しても、機能が備わっていなければ治療の意味がありません。当然、歯の色や形態不良の原因を追究し、根本的な病気を治療する必要があります。その上で、より自然な美しさを付与して初めて「審美歯科の目的」が達成されます。
審美歯科で使用する材料は「セラミックス」と呼ばれ、歯科で使用する材料の中で最も審美性・機能性に優れてます。
セラミックスとは陶材やガラスなどに代表される非金属の無機材料ですが、歯科治療(修復物や補綴物)に用いられるセラミックスは、人の咬む力で簡単に割れないように改良された、強度を持ったセラミックスになります。
陶器をイメージするとわかりやすいと思いますが、セラミックスの表面にはプラークや歯石がほとんど付着しません。そのため、かぶせ物を入れた歯の周囲の歯肉にもやさしく、かつ水分を吸収しないので艶も失われず、きれいな状態が長持ちします。
セラミックスと名前がついているかぶせ物の中にも様々な種類がありますが、当院では患者さんの状態に応じて材料を勧めています。
治療例:臼歯部 メタルセラミックスクラウン+ゴールドインレー
咀嚼時に最も機能する第一大臼歯は審美性と機能性を兼ね備えたメタルセラミックスクラウンを装着し、咬合力が最も大きく伝わる第二大臼歯には機能性を重視したゴールドインレーを装着しました。
治療例:前歯部 オールセラミックスクラウン
審美性を重視し前歯部にオールセラミックスクラウンを装着しました。
治療例:臼歯部 メタルセラミックスクラウン+ノンメタルクラスプデンチャー
不適合なメタルクラウンをメタルセラミックスクラウンにし、欠損部にはクラスプ(バネ)の目立たないノンメタルクラスプデンチャーを装着しました。
ホワイトニングについて
「ホワイトニング」に関しては意外と歴史が古く、欧米において100年以上も前から試行錯誤されており、その後1989年ごろより現在のホワイトニングのやり方が確立され、今日に至るそうです。
日本でも1990年代よりホワイトニングへの関心が高まり、今では多くの歯科医院でホワイトニングを受けることが可能であり、審美歯科治療においては欠かせないものになっています。
ホワイトニングには複数の歯に対して行うものとして、「ホームホワイトニング」と「オフィスホワイトニング」があります。また個々の神経の治療が済んでいる歯(失活歯)に行うものとして「ウォーキングブリーチ」や「インターナルブリーチ」といったものがあります。
当院では薬剤の濃度が低い(生体に安全・しみる感覚が少ない)割に高い効果がある、GC社「ティオン」というホワイトニング剤を使用しています。
ホワイトニングをしてはいけない方・効果が少ない場合
- 重度のテトラサイクリン歯(乳幼児期における抗生剤の過剰摂取による歯の変色)
- 妊娠中・授乳中の方
- 無カタラーゼ症の方(薬剤中の過酸化水素を分解できないため)
- 歯のもともとの色がまだらであったり白い斑点が目立っている場合(均一な白さにはなりません)
- 詰め物やかぶせ物はホワイトニングでは白くなりません。
オフィスホワイトニングについて
歯科医院内で行うホワイトニングの事で、約1時間~1時間半かけて専用のホワイトニング材料(GC社製Tionオフィス)を使用して行います。通常、1週間おいて2回行っていきます。即効性のあるホワイトニング方法ですが、少しずつ元の色に近づいていく傾向があります。結婚式の前などには有用なホワイトニングになります。
ホームホワイトニングについて
歯科医院で患者さんの歯型に合った薄いマウスピースを製作し、ご自宅で薬剤を入れたマウスピースを約1時間から2時間装着して行うホワイトニングです。
オフィスホワイトニングより低濃度で長時間にわたり行うため、オフィスホワイトニングより効果が持続するとされています。薬剤がなくなれば追加購入していただく事も可能です。
ウォーキングブリーチについて
神経の治療をした歯の色は、時間の経過とともに変化していく事があります。
クラウン等でかぶせてしまえば歯の色はわかりませんが、ご自身の歯が多く残っている場合には、神経の治療をする為に開けた穴をコンポジットレジンなどで埋めるだけにして、歯質を残す場合があります(歯を削る必要がないと診断した場合です)。
これは歯を残すという意味では非常に侵襲が少なく良い治療法なのですが、唯一の欠点が「歯の変色」。そこで応用するのが「ウォーキングブリーチ」になります。歯の神経の治療をする際にあけた空間に薬剤を入れ、約1週間に1度交換していきます(変色の度合いによっては3回以上繰り返すこともあります)。この方法は、通院期間中ホワイトニング剤を入れたまま歩くうちに白くなることから「ウォーキングブリーチ」と名付けられたようです。
この方法の注意点としては、神経の治療の際に緊密な根管充填(歯の中に最終的な薬を詰める事)がされていなければいけません。場合によっては根管治療をやり直す必要もあります。
インターナルブリーチについて
数回に分けて時間をかけるウォーキングブリーチに対し、1回(約1時間)で変色した歯をホワイトニングするやり方をインターナルブリーチといいます。オフィスホワイトニングで用いる薬液を使用して1歯(失活した変色歯)に対して集中的に行うホワイトニングです。ウォーキングブリーチと比較すると元に戻るスピードも速いと感じますが、結婚式などでお急ぎの場合は有効な方法です。